- SEOの校正・校閲についてクライアントに求められたが、どうやればいいか分からない。
- コンテンツの品質担保に時間がかかっていて、なかなか公開できない。
- もっと効率的に、かつもっと高品質な記事を提供できるようにしたい
当社でもSEO記事制作事業を立ち上げ時、同様の課題感があり、改善するための仕組み化を進めてきました。
その経験を元に、今回は以下の点について解説します。
- SEO記事作成における校正・校閲とは何か
- SEO記事作成における校正・校閲ではどういう観点を見るか
- SEO記事作成における校正・校閲をより簡単に行うための方法
この記事は主に、
- Webライティングを受託しているフリーランス
- Webライティングを受託している企業様
- オウンドメディアを運営している企業様
にお役立ちできるのではないかと思います。
専門用語も出てきますが、できるだけ日常の言葉に置き換えてわかりやすく解説しますのでご安心ください。
SEO校正・校閲とは何か?
SEO記事における「校正」と「校閲」の違いについて整理します。どちらも文章をチェックして品質を高めるための作業ですが、内容に踏み込む深さや目的が異なります。SEO記事の場合、校正と校閲の両方を適切に行うことで、記事の読みやすさと正確性が担保され、結果的にユーザーにも検索エンジンにも好まれるコンテンツになります。それぞれの意味をきちんと理解し、役割分担しておきましょう。
校正とは
校正とは、文章の表面的な誤りを正す作業のことです。
具体的には、誤字・脱字、送り仮名の間違い、文法ミスなど、文章を書き写す上で生じる間違いをチェックして修正します 。
例えば
- 「漢字をまちがえる」
- 「一字抜けてしまう」
といったミスや、主語と述語のねじれなど文法上の誤りがないか確認するのが校正の役割です。
校閲とは
校閲とは、文章内容の事実関係や表現の整合性をチェックする作業です。
校正が表記や文法上のミス直しであるのに対し、校閲は記事の内容そのものに踏み込んで確認を行います。
具体的には、以下が校閲に含まれます。
- 表記ゆれ(同じ言葉の漢字とかな表記の混在など)の統一
- 事実関係の誤りがないかの確認
- 不適切な表現の修正
- 文脈や内容に矛盾がないかをチェック
- 引用したデータや日付・数値が正確か、固有名詞(人名や企業名)の表記が正しいかチェック
- 前後の文章で論理が破綻していないかチェック
- 公序良俗に反する表現や差別的な言葉遣い
SEO記事校正の重要性
SEO記事において校正作業は一見地味な裏方のようですが、以下の観点で非常に重要です。
- ユーザーの体験向上
- SEOの観点(Googleの品質評価ガイドライン)
ユーザー体験 / ブランドへの信頼性の向上
文章の校正をしっかり行うことは、ユーザー体験(UX)の向上につながります。
もし記事に誤字・脱字や読みづらい表現が多いと、読者は「読みにくいな」と感じて途中で離脱してしまう可能性があります。
たとえ内容自体が有用でも、文章ミスが多ければ「この情報は信頼できるのだろうか?」という不安を与えてしまい、サイト全体の信用を損ないかねません。
逆に、誤りがなく読みやすい文章であれば、読者はスムーズに内容を理解でき、記事に集中できます。
滞在時間が伸びたり他のページも読んでもらえる可能性が高まり、ユーザー満足度が向上します。
ユーザーが心地よく記事を読める状態を作ることが、結果としてSEOの成果(ページの評価向上やコンバージョン率アップ)にもつながるのです。
SEOの観点:Googleの品質評価ガイドラインにおけるページ品質との関係
SEOのガイドブックである「Googleの検索品質評価ガイドライン」でも、文章の品質は重要視されています。
Googleの品質評価ガイドライン上では、文法や句読点のミスが多い記事は「低品質」と見なされる旨が示されています。
実際、ガイドライン内の例では「この記事の文章は文法や句読点の誤りが多く、専門家が書いたものとは思えない」といった評価が述べられており、こうした記事は品質評価で低い点をつけられてしまいます。
ただし、例えば誤字が一つでもあれば上位表示されないというわけではなく、あくまでも程度の問題となります。
(実際に弊社で運営しているフリーランスエンジニア向けのマッチングサイトの記事では、誤字があったとしても上位表示されていました。)
SEOコンテンツの校正で確認すべきポイント
ここからは、実際にSEO記事を校正する際にチェックすべき具体的なポイントを解説します。
誤字脱字の確認
誤字脱字は校正でまず最初にチェックすべき基本ポイントです。
文章中の漢字の変換ミス(誤字)や文字の打ち忘れ(脱字)は、どんな熟練ライターでも起こり得ます。
「自分は大丈夫」と思っていても、人間にはタイポグリセミア(Typoglycemia)という現象があり、文章の中の一部の文字が入れ替わっていても意外と気づかず読めてしまうことがあります。
そのため、自分で書いた文章をすぐ読み返すだけでは小さな誤字脱字を見落としやすいのです。
対策としては、以下のような対応がおすすめです。
- 時間をおいてから読み直す
- 音読や読み上げツールを使って確認する
- 誤字脱字チェックツールを利用して確認する
表記ゆれの修正
表記ゆれとは、同じ言葉について異なる表記が混在してしまう現象です。
たとえば、カタカナ語で「ウェブ」と「Web」が混在したり、ひらがなと漢字で「できる」と「出来る」がまちまちになっていたりするケースが挙げられます。
また、数字の表記について
- 「半角の“5”」と「全角の5」が混ざっている、
- 年代の書き方が「2023年」と「2023年」で統一されていない、
なども表記ゆれです。
これらを放置すると文章全体がチグハグな印象になり、読者にプロらしさや信頼感を与えにくくなります。したがって、校正では用字用語の統一を意識しましょう。
具体的には、
- 記事全体で漢字かひらがなかを統一すべき用語(例:「ください」は平仮名に統一する等)をルール化
- 数字・記号類の表記(半角/全角、算用数字/漢数字など)の基準を決める
それに従うことが大切です。
社内や媒体ごとにスタイルガイドがあればそれに沿って修正します。
文末表現の整合性
文末表現の整合性も校正時の重要チェックポイントです。文章の結び(語尾)が一定していないと、読者に違和感を与えたり文章全体のトーンがぶれて伝わりづらくなります。
例えば、敬体(です・ます調)で書いている記事の途中で常体(だ・である調)に混ざってしまうと、文章がちぐはぐに感じられます。
一般的なSEO記事では、読み手との適切な距離感を保つために「です」「ます」で統一するケースが多いです。したがって、校正では記事全体で文末のスタイルが統一されているかをチェックし、混在があれば修正します。
また、文末の形(例えば「〜でしょう。」と「〜です。」など)も極力トーンを揃え、乱用されていないか確認します。特に箇条書きの羅列後の文末や、見出し直後の一文で文体が変わりやすいので注意が必要です。
もう一つ、体言止めや疑問形の多用にも気をつけましょう。文章によっては効果的ですが、頻繁に使うと文章がぶつ切りに感じられたり、不自然な印象を与えます。不必要な体言止め(名詞で文を終わらせる形)が多すぎないか、過剰な「〜だろうか?」などの疑問形で終わる文が続いていないか等も見直してみましょう。
全体として、文末表現を一定の基調で揃えることで、文章が安定し読み手に落ち着いた印象を与えます。校正ではぜひ文末の統一感にも目を配りましょう。
固有名詞や数字の正確性
固有名詞(人名、企業名、商品名、地名など)や数字(日付、金額、統計値など)は、その正確性を厳密にチェックする必要があります。
これらは一度間違えると、読者の信頼を大きく損なうばかりか、情報自体の価値を下げてしまいます。
例えば、人名の漢字を誤って記載したり社名を略称のまま書いてしまった場合、読者から「基本的な事実確認ができていない」と思われるかもしれません。
数字についても、桁を一つ間違えるだけで内容がまったく変わってしまうことがあります。
特に価格や数量の誤りは、ユーザーやクライアントに直接の不利益を与えかねません 。
例として、商品の価格表示を500円のつもりが5,000円と誤記していた場合、問い合わせやクレームにつながるでしょう。
固有名詞・数字のミスはコンテンツの信頼度を直撃するので、面倒でも丁寧に確認・修正することが大切です。
語尾や句読点の適切な使用
語尾や句読点の使い方も、校正で見直したいポイントです。
一文一文の最後の語尾表現や、文中の読点(、)や句点(。)の置き方によって、文章のリズムや読みやすさが大きく変わります。まず語尾については、先ほど触れた文末表現の統一に加えて、同じ語尾の繰り返しにも注意しましょう。
例えば「〜です。〜です。〜です。」と同じ調子が連続すると、単調な印象を与えかねません。意識的に「〜ます。」や「〜でしょう。」など適度に変化をつけ、読み手が飽きないリズムを作ります。
ただし、変化をつけようとするあまり不自然な敬語や回りくどい表現にならないよう気をつけましょう。自然な敬体の範囲でバリエーションを出すのがコツです。
次に句読点の使い方です。読点(、)は文章の意味を区切り読みやすくする大事な記号ですが、入れすぎると返って読みにくくなります。1文に読点が多すぎると文章が細切れに感じられ、テンポが悪くなります。逆に読点が全くない長すぎる一文も、どこで一息つけばいいか分からず読者を疲れさせてしまいます。
校正では、一文の長さと読点のバランスをチェックしましょう。
同音異義語や熟語
日本語には同音異義語(読みが同じで意味や漢字が異なる言葉)が多く存在し、使い方を誤りやすいので注意が必要です。
また、似た意味の熟語でも微妙にニュアンスが異なるものがあり、誤用すると意味が通じなくなったり不自然な文章になってしまいます。
例えば「適宜」と「適正」など音や見た目が似た言葉を誤って入れ替えてしまったり、「以外(それ以外)」「意外(思いがけない)」のような読みが同じ言葉を混同するケースです。校正ではこうした語の選択ミスにも目を光らせましょう。
固有名詞・数字
固有名詞と数字については先述した通り正確さが命ですが、校正では表記の統一という観点も見逃せません。
例えば、人名の敬称(「さん」「氏」など)をつけるかどうかや、法人名の末尾「株式会社」の有無、数字の桁区切り(3桁ごとにカンマ)や単位(kg, %など)の付け方など、統一ルールを守れているか確認しましょう。
記事内である固有名詞が何度も出てくる場合、最初だけ正式名称+略称を書いて以降は略称を使う、などルール化していればそれに沿っているかチェックします。数字についても、「5万」と「50,000」が混在していないか(和数字とアラビア数字の混在)や、「半角数字と漢数字」が混ざっていないかを確認し、必要に応じて統一します。
例えば年齢や時刻は算用数字、年号は漢数字、など媒体によってルールがある場合があります。また全角と半角の統一も細かいですが重要です。電話番号や郵便番号、ISBNなどは半角数字で書く、といった慣例がありますし、アルファベットも全角でなく半角が普通です。これらが混ざっていると見栄えが悪いだけでなく、検索の際にも別の文字列として認識されてしまいます。
さらに校正では、数字の桁にも注意しましょう。4桁以上の数字には3桁区切りのカンマを入れるか否か、入れるなら一貫して入っているか確認します。「10000」と「10,000」が混在すると読みづらいですし専門性も疑われます。もちろん金額の単位(円・ドルなど)の付け忘れや、%と記号の半角/全角統一もチェックします。固有名詞と数字は表記ゆれが起きやすい箇所なので、最終的に全て統一されている状態に仕上げることが肝心です。記事のプロフェッショナルとして、細部まで一貫した表記を貫き、完成度を高めましょう。
句読点
句読点の使い方について、もう一歩踏み込んで確認すべきポイントを述べます。文章全体を通して、句点「。」と読点「、」の用法が統一されているかを見ましょう。特に箇条書きの文章では注意が必要です。例えば、リスト形式の文末に「。」をつけるか否か、体言止めで統一するかなどが挙げられます。記事内で箇条書きが複数ある場合、すべて同じスタイルになっていることが望ましいです(どれか一つだけ句点あり、他は句点なしなどは統一感を欠きます)。また、見出し(小見出し)の後に続く本文の書き出しについても、時折「〜です。」と始めるか「〜です」と句点無しで続けるかスタイルが分かれる場合があります。これも記事全体で統一されていることが重要です。
読点の使い方では、一文に複数の読点が連続しない表現を心がけます。例えば「〜で、そして、〜で、また、〜」のように、同じ接続詞+読点のパターンが繰り返されていないか確認しましょう。こういった場合、一部の接続詞を削ったり言い回しを変えることで、読点の頻度を減らし文章をすっきりさせます。また、特殊な読点の用法(例:「〜と思い、いや、考えなおしてみると〜」のような一瞬言葉を飲み込む効果など)が正しく機能しているかも見ます。読点の位置一つで意味合いが変わることもありますので、「この読点は本当に必要か」「別の場所に入れた方が読みやすいか」を検討してください。
句点に関しては、文末以外での句点(「〜。『…』。」のように引用の後の句点の扱いなど)に気を配ります。日本語では引用符やかっこ閉じの直後に句点を打つかなどルールがありますので、混乱がないようにしましょう。例えば括弧を閉じた直後に句点を打つ場合は括弧の外に句点を書くのが正しい(。)ですが、括弧内の文章自体が独立した文で句点を含む場合は外に句点を書かない、等の細かなルールがあります。このような句読点の細則は記者ハンドブック等のスタイルガイドにも載っていますので、迷ったら参照します。
細かい点ですが、くどい読点や誤った句点の処理を校正で正すことで、文章は格段に洗練されます。 読者は無意識にそれらの整然さからプロの仕事ぶりを感じ取るものです。句読点の最終チェックまで怠らずに行いましょう。
文末表現
SEO記事では基本的に「です・ます調」で統一することが多いものの、毎文が同じパターンだと平坦に感じられることがあります。そこで、文末のニュアンスに変化をつけることで読みやすさを意識します。例えば、断定を避けたいときは「〜でしょう。」「〜だと思います。」と表現する、注意喚起には「〜してください。」と命令形にする、問いかけには「〜でしょうか?」と疑問形にするなど、内容に合わせて適切な文末を選びましょう。ただし、一貫性を損なうほど様々な文末を乱用するのは禁物です。あくまで敬体の範囲内での工夫に留め、統一感は維持します。
もう一点、冗長な文末を削るという観点もあります。例えば「〜なのです。」という表現を「〜です。」にするだけで簡潔になることがあります。「〜なのであります。」のような旧来的で回りくどい語尾は現代のWeb記事では好まれない場合が多く、校正段階で省いてしまって構いません。また「〜と思われますが、〜です。」のように結論前に含みを持たせすぎて二重表現になっているケースも見直します。
「〜と考えます。〜です。」と二文に切ったり、そもそも前段を省略するなどして読みやすく整理します。校正で文末を引き締めることで、文章全体がキリッと締まり、読者に伝わりやすくなります。
最後に文章全体のリズムも考慮しましょう。意図的に短い文と長めの文を交互に織り交ぜることでリズムが生まれ、読者を飽きさせません。長文が続きすぎたら一つ区切って語尾を少し変える、逆に短文が多くぶつ切りになっていたら少し接続して滑らかにする、といった調整も校正者の腕の見せ所です。文末表現は文章の印象を左右する繊細な部分なので、ぜひ丁寧に磨きをかけてください。
慣用句
慣用句や比喩表現は文章に彩りを与える反面、誤用しやすいポイントでもあります。よく知られた慣用句でも実は間違って覚えているケースが多く、校正ではそれらを正しい形に修正する必要があります。
例えば、「押しも押されぬ人気者」という慣用句、正しくは「押しも押されもせぬ人気者」です。多くの人が誤って略して使ったりしているので注意が必要です。同様に「煮詰まる」を「議論が行き詰まる」の意味で使うのは誤用(本来は結論が出る段階になる意)など、ありがちな慣用句ミスを見逃さないようにしましょう 。
プロのライターであっても慣用句の細かい部分まで正確に覚えていないことはあり得ます。校正者として、「この表現は本当にこの文脈で合っているか?」と疑い、必要に応じて辞書やインターネットで確認しましょう。
比喩表現
また、比喩表現については、その文章の調子に合っているか、わかりづらい比喩になっていないかをチェックします。比喩が抽象的すぎたり文化依存すぎる場合、読者に伝わらない可能性があります。
SEO記事では極端な比喩よりも端的な説明が好まれる傾向がありますので、浮いた比喩がないか確認し、場合によってはより直接的な表現に置き換えます。例えば「まるで○○のようだ」という表現が続くと少々文学的すぎて、情報を得たい読者には回りくどく感じられることもあります。比喩は効果的に、しかし多用せずが鉄則です。
さらに、古い言い回しや難解な慣用句は現代の読者(特に若年層)には通じない可能性もあります。その場合、注釈を入れるか別の平易な表現に変えるかを検討します。例えば「二の足を踏む(躊躇する)」など、わかりづらければ「躊躇しています」と直接書く方が親切かもしれません。
校正者はしばしば「国語の先生」のような視点で、慣用句・ことわざ・格言などの正否を判断する役割があります。正しい慣用句の使用は文章の知性につながり、不適切な比喩の排除は読みやすさにつながります。最終稿を読み返す際には、慣用句・比喩の部分にも是非注目して質を高めてください。
SEOコンテンツの校閲で確認すべきポイント
次に、校閲の観点からSEOコンテンツで確認すべきポイントを解説します。校閲では、先述したように文章内容の正確性や適切性を総合的にチェックします。
ファクトチェック(事実確認)
ファクトチェックとは、記事内で述べられている事実関係が正しいかどうかを検証することです。SEO記事に限らずwebコンテンツ全般で重視される工程ですが、特にSEOでは品質評価の観点で非常に重要です。
検索品質評価ガイドラインでは、事実に関する誤りがある記事は質が低いと判断されます 。たとえば、統計データや調査結果を紹介しているのにそれが古い情報のままだったり、文献やニュースソースを誤って解釈して伝えている場合、読者に誤情報を伝えることになります。これはユーザーの利益を損ない、サイトの信頼度も下げる行為です。校閲では必ず記事内の主要なファクトに目を向け、出典の確認や情報源との突き合わせを行いましょう。
具体的には、
・記事内で挙げた数字・統計は元データと一致しているか
・引用した他サイトの内容は正しく引用できているか
・その引用元自体が信頼できるサイトか
などをチェックします。
可能なら一次情報(政府や公的機関の発表、権威ある機関の報告書など)にさかのぼって確認すると安心です。特にYMYL(お金・健康・生活)に関連する記事では、間違った情報はユーザーに甚大な損害を与える可能性があるため、誤りがないよう丹念に確認します。
Googleも「専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)」の評価軸で事実性を重視していますので、ファクトチェックを怠らないことが良質コンテンツの基本です。校閲者は仮に執筆者が書いた内容であっても、鵜呑みにせず「本当にそうか?」と常に問い、記事の正確性を担保してください。
なお、校正前の文章には、必ず引用したURLを含める運用にすると、校正がファクトチェックに工数を割かなくてもよいのでおすすめです。
生成AIで書かれた低品質コンテンツチェック
近年増えているのが、生成AI(人工知能)によって自動生成されたコンテンツです。AIで記事を生成すると効率は上がる一方で、事実誤認や不自然な文章、価値の薄い大量生産コンテンツが生まれやすくなります。
GoogleはAI生成そのものを一律に禁止してはいないものの、「内容の品質と有用性」が最重視されており、人間の目で見て低品質なコンテンツは評価されないとしています。
またGoogleのジョン・ミューラー氏は、人間の編集や監修なしにAIだけで大量生成されたコンテンツはガイドライン違反となる可能性に言及しています
校閲の際には、以下の観点に注意しましょう。
- 記事の文章がAI特有の不自然さや冗長さを持っていないか。日本語ではあまり使わないような表現を含んでいないか。
- 内容が空疎で意味のない文の羅列になっていないか。動詞の抽象度が高すぎて、曖昧なことを伝えていないか
社内レギュレーション順守チェック
多くの企業やメディアでは、社内レギュレーション(社内規定やガイドライン)が存在します。これはコンテンツのスタイルや表記ルール、扱ってはいけない表現などを定めたもので、ブランドイメージの統一や法令遵守のために定められていることが多いです。校閲時には、記事内容がその社内ルールに沿っているかをチェックすることも重要な役割です。
例えば、金融系のメディアでは「絶対に損しない」など断定的・誇張的な表現は禁止されていることがあります。
または、公序良俗に反するスラングや差別用語、他社商標の使用ガイドラインなど細かい決まりもあるでしょう。社内レギュレーションでNGワードが指定されている場合は、記事内にそれが含まれていないか確認します。
仮に含まれていたら、適切な言い換えや削除を行います。
またトンマナ(トーン&マナー)の観点で、砕けすぎた言葉遣いや逆に硬すぎる表現など、ブランドイメージにそぐわない部分がないかも確認します。
例えば若年層向けサービスのブログならあえてくだけた語り口が良いですが、厳格な医療機関のサイトで「〜だよね」と書くのはアウト、など文体も含めてチェックします。
記事の目的や媒体特性に合わせた文章かどうか、一歩引いた視点で見直すのも校閲者の務めです。
法令チェック(医療広告ガイドライン, 景品表示法など)
SEOコンテンツは公開されれば全世界から閲覧可能であり、各種法令を守っていることが前提です。
特に注意が必要なのが、業界特有の法律やガイドラインです。
例えば医療や健康に関する記事では、「医療広告ガイドライン」に違反しないか確認することが重要です。治療効果を過度に保証する表現や、体験談風の誇大広告に当たる記述は法律で禁じられています。「必ず治ります」「絶対に効果があります」といった断定的表現や、症例写真の不用意な掲載などがないか校閲段階でチェックします。
次に景品表示法(不当表示の禁止)も大事です。商品やサービスを紹介する記事で、「業界No.1」とか「これさえあれば他はいらない」といった根拠のない優良誤認表現がないか確認しましょう。根拠を示さずに「唯一無二」「絶対○○できる」と謳うのはNGです。もしランキング形式の記事で1位などと書く場合も、恣意的でなく公正な判断かどうか自問します。
不当表示は消費者庁からの指導・罰則対象になることもあるので慎重に校閲します。
他にも、薬機法(旧薬事法)に触れる表現(健康食品を「病気が治る」と書くなど)はないか、著作権侵害につながる引用の仕方をしていないか(引用ルールに則っているか)、公序良俗に反するコンテンツかどうかなど、多岐に渡ります。引用のルールも法令と絡む部分です。引用は必ず出典を明記し、引用部分が従となるようバランスを取る(引用ばかりにならない)ことを確認します。
画像の無断使用や、他サイト文章のコピペも厳禁です。コピペは著作権侵害であるのはもちろん、SEO的にもペナルティを受けかねません (co.nobilista.com)(コピーコンテンツは検索結果から除外されるリスクが高いです)。
校閲者はある意味「法令順守チェック担当」でもあります。業界ガイドラインや法律に抵触しそうな箇所を発見したら、遠慮なく修正・指摘しましょう。必要であれば専門部署や法律の専門家に確認を取ることも検討します。安心して公開できる記事にするため、法令チェックは絶対に飛ばさないでください。
ユーザーがこの記事を読んで課題解決できるかチェック
校閲では最後に、ユーザー視点に立って記事を読み直すことも大切です。つまり、「この記事を読みに来た人の疑問やニーズにちゃんと答えられているか?」というチェックです。SEO記事は検索ユーザーの課題解決のために存在します。もし校閲の時点で、記事内容が質問の答えになっていなかったり、核心部分が曖昧で結局読者が何をすればよいか分からないという状況なら、加筆修正が必要です。例えば、「SEO校正の重要性」を知りたくて来た読者に対し、記事がそれを十分説明していなければ不親切です。また、専門用語がそのまま使われていて一般読者には理解できない場合、注釈やわかりやすい説明を補うことを検討します。読者のペルソナ(想定読者像)を思い浮かべて、その人が記事を読んだあと「なるほど、疑問が解決した」「次にやるべきことが分かった」と思えるかどうかを判断しましょう。もし自信が持てなければ、記事の構成自体を見直したり、不足情報を付け加える必要があるかもしれません。
一つの手法として、第三者に記事を読んでもらうのも効果的です。校閲段階で可能であれば、ターゲットに近い第三者に読んでもらい、理解できたか・疑問は残らないかフィードバックをもらうと良いでしょう。それが難しければ、自分自身が初見の読者になったつもりで冷静に読み返します。見出しと内容がずれていないか、結論は明確に示されているか、不要な寄り道や話の逸脱はないかを点検します。
検索エンジンの評価も最終的にはユーザーの満足度と直結します。ユーザーが読んで「課題が解決した!」と思える記事こそ高品質と評価され上位表示される傾向があります。校閲者は文章の正確さだけでなく、記事全体の有用性まで視野に入れ、必要なら編集的な判断で記事内容を改善してください。記事公開前のこの最終チェックで、ユーザーの視点をもう一度取り戻すことが、SEOで成功するコンテンツ作りには不可欠です。
SEOにおける校正の具体的な手法
校正・校閲の重要ポイントを押さえたところで、実際に作業を行う際の具体的な手法について解説します。やみくもにチェックするよりも、効率よく漏れなく確認できる仕組みを作ることが大切です。また、便利な校正・校閲ツールも積極的に活用していきましょう。ここでは、効果的なチェックリストの作成方法や無料・有料ツールの活用について紹介します。それらを組み合わせて活用することで、校正の精度とスピードを両立させ、生産性を高めることができます。
効果的な校正チェックリストの作成
校正の品質と効率を上げるには、チェックリストの作成が有効です。不注意による見落としを防ぐため、事前に確認項目を一覧化し、それに沿って校正作業を進めると漏れが少なくなります。チェックリストには、これまで述べてきたポイントを網羅すると良いでしょう。例えば以下のような項目が考えられます。
- 誤字脱字の有無(入力ミス、変換ミス、脱字重字)
- 表記ゆれ(用字用語の統一: 例. 全て→すべて, 1月1日→1月1日??など)
- 文末の統一(ですます調/だである調の統一、敬語の乱れがないか)
- 見出し・タイトル(タイトルや各見出しに誤字がないか、内容と見出しが一致しているか)
- 固有名詞・数字(正式名称・正確な数字か、一貫した表記か)
- 文法・構文(主語述語のねじれ、不自然な受動態、時制の不一致、冗長表現)
- 句読点(読点の適切な配置、句点の統一、記号の使い方)
- 慣用句・言葉の使い方(誤用がないか、適切な言い回しか)
- 事実関係(述べている内容が事実に基づいているか、裏付けはあるか)
- レギュレーション(禁則事項に触れていないか、トンマナは合っているか)
- ユーザー視点(読者の疑問に答えているか、内容は有益か)
このようなリストを用意し、校正を行ったら各項目をチェックしていきます。完了したらチェックマークを付けるなどして、全項目カバーできたか確認しましょう。
特に締切が迫って焦っている時など、チェックリストに沿って作業することで抜け漏れを防ぐことができます。慣れてきて頭の中で対応できる方でも、新人ライターや社内共有のためにも形に残るリストがあると安心です。GoogleドキュメントやExcelで簡単な表を作って毎回コピーして使うのも手です。標準化されたチェックリストは、チーム全体の校正力を底上げする効果もあります。
個人レベルでも「前回見落としたのはここだ」という反省を次のリストに反映させていくことで、どんどん精度が上がっていくでしょう。校正は地道な作業ですが、チェックリストという道具を使えば効率的かつ確実に行えます。
無料/有料の校正・校閲ツールの検討
校正・校閲作業をサポートしてくれる便利なツールも数多く存在します。人間の目だけでは時間がかかるチェック項目も、ツールを併用することで短時間で発見できる場合があります。
おすすめの校正・校閲ツール(価格・機能別に解説)
ここでは具体的なおすすめ校正・校閲ツールをいくつか挙げ、それぞれの価格帯や機能の特徴を解説します。
無料で使えるものからプロ向けの有料サービスまで幅広く取り上げますので、自分の用途や予算に合ったツール選びの参考にしてください。ツールによって強みが異なるため、必要に応じて併用することでより効果を発揮します。
文賢
文賢(ぶんけん)は、プロのライターや編集者向けに開発された有料のオンライン文章校正・作成支援ツールです。
初期費用と月額料金がかかりますが、その分高機能なアドバイスをしてくれるのが特長です。
文賢の最大の強みは、独自の100以上のチェック視点で文章を分析してくれる点です 。具体的な機能としては、誤字脱字チェック、商標・固有名詞の正誤チェック、差別語・不快語の検出、重複表現の指摘、文末表現の統一チェックなど、多岐にわたります。
さらに面白い機能として、慣用句やことわざの入力支援や、推敲アドバイスまで行ってくれます 。たとえば文章内に誰かを傷つける可能性のある表現がないか「不快語チェック」をしたり、漢字とひらがなのバランスから読みやすさを判定したりと、まさに人間の校正者のような細やかさです 。使い方はオンライン上に文章を貼り付けるだけで一括チェックできます。
Copy Content Detector
Copy Content Detector(CCD)は、Webライティング業界でよく使われているコピーコンテンツチェックツールです。
主な用途は、納品された記事や自分の書いた記事が他のサイトからの盗用になっていないか、文章の類似度をチェックすることにあります。
SEOの世界では、他サイトと文章が重複していると検索順位に不利になったりGoogleからペナルティを受けるリスクがあるため 、このツールで事前に類似度を検査します。
Copy Content Detectorは基本無料で利用でき、無料プランでは一度に最大4,000文字までチェックできます。
回数無制限でWeb上に公開されている記事との類似を調べられるので、普段使いには十分でしょう。
一方で有料プランも用意されており、月額980円程度(税抜)で上限文字数が8,000文字に拡張されます 。
長文記事を一括でチェックしたい場合や、より大量の記事を扱う場合は有料プランが便利です。
Googleドキュメント / Wordなどのコメント機能/提案機能
校正・校閲の実務では、コメント機能や提案機能を備えたドキュメントツールを活用すると便利です。
例えば、GoogleドキュメントやMicrosoft Wordには、文章中にコメントを付けたり変更履歴を提案モードで残したりする機能があります。この「赤入れ」プロセスをデジタル上で再現できるのがコメント・提案機能です。校正者が直接文章を修正してしまう方法もありますが、コメント機能を使うことで何が問題でどう直すべきかをライターに共有できる利点があります。他者に校正を依頼する場合や、チームでフィードバックを回す場合には特に有効です。
Googleドキュメントであれば、編集モードを「提案モード」に切り替えて文章を修正すると、元の文字は取り消し線、新しい案は緑色表示となり、右側に提案内容が記録されます。ライターはそれを見て「承認」または「拒否」ができ、どんな修正が行われたか一目でわかります。Wordの場合は「変更履歴の記録(トラックチェンジ)」機能をオンにしておくと同様に変更点が赤字や吹き出しで表示されます。またコメント機能では、例えば「この部分は意味が曖昧なので要再確認」「データの出典はどこですか?」など、具体的な指摘や質問を書き込んで伝えることができます。
このようにコメント/提案機能を使うメリットは、校正・校閲者とライターのコミュニケーションが円滑になることです。単に文章が直っているより、なぜ直したかが分かるので、執筆者の学びにもなりますし、必要に応じて議論することもできます。また、最終的な判断を記事担当者に委ねる場合にも提案形式なら柔軟です。例えばスタイルの問題で「こちらの表現のほうが良いのでは」と提案しつつ、最終決定はディレクターに任せる、といった使い方もできます。
さらに、コメント機能は第三者チェックやクライアント確認の場面でも活きます。クライアントに直接赤字だらけの文書を渡すより、コメント付きで「〜と修正しましたがご確認ください」と出す方が丁寧です。履歴が全て残るので後で「どこを直したか分からない」という事態も防げます。
音読さん
音読さんは、画面上の文章を音声で読み上げてくれるオンラインサービス(音声読み上げソフト)です。先述した誤字脱字チェックの話でも触れましたが、文章は耳で聞くことで思いがけない誤りに気づけることがあります 。
音読さんはそんな校正支援のために作られたツールで、自分で読む代わりに機械が滑らかな音声で読み上げてくれます。特に自分の書いた文章だと脳内補完でミスを見逃しがちですが、人に読んでもらうと「あれ、今の言い回し変だな」とはっきり気づけます 。
具体的な使い方は、音読さんのサイトに文章を貼り付け、「読み上げ」ボタンを押すだけです。そうすると選択した声質・速度で文章全体を音声合成して再生してくれます。速度は1.0倍から1.5倍、2.0倍など調整できるため、慣れれば高速チェックも可能です。
文章を聞いていると、たとえば誤字で明らかにおかしい発音になったり、脱字で文が繋がらなかったりするのが耳で分かります。また、不自然な繰り返し表現や句読点の打ち所も、聞いていて引っかかればそこが改善ポイントと分かります。人間の目では滑り過ごしていたミスを、音声があればかなり拾えます。
記者ハンドブック(校正/校閲観点の調査)
記者ハンドブックとは、新聞記者向けに作られた新聞用字用語集で、日本語表記の統一や用語の用法が詳しく記載されたスタイルガイドブックです。共同通信社が編纂しており、新聞業界では「赤本」と呼ばれて必携の一冊となっています 。
校正・校閲者にとってもこのハンドブックは強い味方で、迷ったときにすぐ引ける辞書として活用できます。内容は、用字用語の統一ルール(例えば「4月1日」を「四月一日」とは書かない等)、送り仮名の基準、外来語の表記法、数字の書き方、新聞記事特有の簡潔な文体ルールなど、多岐に渡ります。第14版では約4,500項目が収録されており、例えば「表記すべきカタカナ語一覧」「差別的表現に注意すべき語」「敬称のルール」なども網羅されています。「株式会社は原則略さず書く」「地名は行政区を省略しない」といったガイドラインも示されています。
SEO記事は新聞記事ほど厳密な制約はないにせよ、信頼性の高いメディアほどこの記者ハンドブックに準拠した文章ルールを採用していることが多いです。ですから、校閲者は手元に一冊置いておくと非常に便利です。
実際に、多くの企業が「共同通信社記者ハンドブックに準拠」とスタイルガイドに明記していますし、最近では日立ソリューションズがこのハンドブックの用語集データを活用した文章診断機能を企業向けに提供するなど、デジタルな形でも価値が認められています。
SEOライティングでも、例えば数字の表記ひとつ取ってもハンドブックに倣うと統一しやすいです。校閲者はとっさに引けるよう机上に置いておいたり、電子版をインストールしておくと良いでしょう。伝統的な編集の知恵が詰まった一冊を活用すれば、校正・校閲の質がさらに高まります。
ChatGPT(プロンプトを利用することを想定)
最後に、近年話題のChatGPTを校正・校閲の補助に活用する方法です。ChatGPTはOpenAIが開発した大規模言語モデルのAIで、人間のような自然な文章を生成したり質問に答えたりしてくれます。このAIをうまくプロンプト設計(指示の工夫)することで、文章のチェックや改善提案を得ることも可能です。
例えば、自分の書いたSEO記事の一部をChatGPTに読み込ませ、
「この文章の誤字脱字や不自然な表現を指摘してください」
とプロンプトを投げるとします。ChatGPTは文章を解析し、「○行目の『〜〜』は『〜〜』の誤字ではないですか?」とか「この文と次の文の接続が分かりにくいかもしれません」のように指摘を返してくれることがあります。
「もっと読みやすい表現にリライトしてください」
また、「もっと読みやすい表現にリライトしてください」とお願いすれば候補となる文章を提示してくれます。
ただし、ChatGPTは完璧ではありませんし、間違った指摘をすることも十分ありえます。あくまでAIアシスタントとして使い、最終判断や詳細なチェックは人間が行う必要があります。
ChatGPTを校閲的に使う場合、「この文章の事実関係に誤りはありますか?」と尋ねることも考えられます。しかし現状、ChatGPTは信頼できるファクトチェックには向きません。AIがハルシネーションと呼ばれる架空の情報をそれらしく回答してしまうこともあるからです。そのため、使いどころとしては文章表現のブラッシュアップ補助が適切でしょう。
例えば「敬体と常体が混ざっています。統一してください。」などスタイルの修正を提案させたり、「冗長な部分があれば教えて」と尋ねて簡潔にするヒントをもらうといった具合です。
SEO記事の校正・校閲時のコツや注意点
最後に、実際にSEO記事の校正・校閲を行う際に覚えておきたい注意点をまとめます。どれだけしっかりチェックしても、人間の行うことなので抜けが出る可能性はあります。効率と品質を両立するため、作業上の工夫や心構えを持っておくことが大切です。
校正・校閲の分離
校正と校閲は役割が異なるため、可能であればプロセスを分離することを検討しましょう。つまり、まずは校正(表面的なミス修正)に集中し、その後校閲(内容の精査)を行うという二段構えにする方法です。
なぜ分離すると良いかというと、一度に全てをやろうとすると抜け漏れが起きやすく、また脳のモードが異なる作業を並行することで効率が落ちるからです。
校正作業中は、誤字・脱字・文法など細部を見るモードに切り替え、内容はさておきテキストとして正しいかに注力します。例えば誤字脱字チェック→表記ゆれチェック→句読点チェック…という感じです。
その後、校閲モードに切り替えて文章の意味やファクトをチェックする、という流れです。一緒にやると、事実確認に意識が行っている間に誤字を見過ごしたり、その逆が起こりえます。ですから、できれば工程を分けて二度読みするくらいがちょうど良いのです。
もちろん人員に余裕があれば、校正者と校閲者を別の人にするのが理想です 。
執筆者とは別の人が校正・校閲するのが望ましいのと同様、校正担当と校閲担当を分けると各々専門性を発揮できます。
他者による校正の重要性
自分自身で書いた文章の校正・校閲を完璧にこなすのは非常に難しいです。
理由はシンプルで、人間は自分の文章に主観が入ってしまい、ミスを見落としがちだからです。
厳密すぎるとレビュー作業負荷が膨大になるリスクがあるため適度に
校正・校閲は際限なく厳密にやろうと思えばできてしまいますが、現実には締め切りやコストとのバランスを取る必要があります。
あまりに完璧を求めすぎると、レビューに時間がかかりすぎて生産性が著しく低下するリスクがあります。
例えば、一つの記事に対して句読点の位置を延々と議論したり、言い換え表現を何パターンも試してみたりと、細部に凝り出すとキリがありません。もちろん質を追求すること自体は良いことですが、費用対効果を常に意識しましょう。
たとえば100点満点中90点の品質の記事を95点に引き上げるのには多大な工数が必要だったりします。それよりは、新しい記事をもう1本作った方が全体としての価値が高まる場合もあります。
特にSEOではタイムリーな公開も重要だったりするので、校閲に時間をかけすぎて公開が遅れては本末転倒です。ウェブ記事は後から修正・更新もできますから、致命的なミスさえなければとりあえず出して、軽微な表現調整は後追いでやるという考え方も場合によってはアリです(もちろん誤情報は困りますが)。
チェックの深度にメリハリをつけることも大切です。全部を100%確認すると、例えば5000文字の記事に何時間もかかってしまいます。リソースが限られる場合は、注力すべき点(数値や事実、タイトル・見出しなど目立つ部分)と多少のブレは許容できる点(口語的な言い回しの微妙な違いなど)を分けて考えます。
読者に大きな影響を与えない部分の細かな統一は、次回以降の修正課題に回すことも検討しましょう。完璧主義になりすぎず、適度な品質ラインをチーム内で共有することが重要です。
特に規模の大きいメディア運営では、レビューに時間をかけすぎて記事本数が出せなくなるとビジネス的に損失が出ます。逆に雑に出しすぎると信頼を落としますので、そのバランスが経営判断にもなります。“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”で、厳密すぎる校正もまた問題なのです。
チームとしては「80点主義」のようなルールをあえて設ける場合もあります。要はある程度の粒度でOKを出す勇気を持つことです。校正・校閲者としては気になる箇所を全て直したい衝動にも駆られますが、時間内でできる範囲でベストを尽くすという割り切りも必要です。適度なラインを見極めつつ、品質と効率のバランスを取ってください。
なるべくライターやディレクターがセルフチェックで自動で対応できるオペレーションへ
校正・校閲工程を軽減しつつ品質を維持するためには、元のライターやディレクター自身が一定レベルのセルフチェックを行い、自動化できる部分は自動化する運用が理想的です。
つまり、初稿の段階で基本的なミスがほとんど無い状態を実現し、校閲者が高度なチェックだけに集中できるようにすることです。これは長期的に見ると非常に効率的で、校正者の負担を大幅に減らします。
具体的には、ライターが執筆後に自分で校正チェックリストを使って見直す習慣をつけることです。誤字脱字や表記ゆれなど、ツールで検出できるものはライター段階で処理してもらいます。例えば前述の日本語校正ツールや文賢などをライター自身が導入し、原稿提出前に走らせるようにルール化します。コピペチェックも納品前に依頼主がやるより、執筆者側で行ってもらった方が合理的です。「CCDで類似度◯%以下で納品」といった基準を設けているケースもあります。
要は校正者がやるまでもないレベルの基本チェックは自動化・セルフ化してしまおうということです。
さらに、コンテンツディレクターや編集担当も簡易校閲スクリプトなどを活用して一次チェックを自動で行う仕組みを構築できます。例えば、記事本文に禁止ワードが入っていないか正規表現で洗い出すスクリプトを回す、タイトル文字数オーバーやメタディスクリプションの長さなどを自動検証するなどです。
このように、多くのチェック工程を前倒し&自動化することで、最終的な校正者の作業はかなり楽になります。校閲者は確認リストを見てOKクリックするくらいになるかもしれませんし、より創造的な改善提案に時間を割けます。
また、人材教育的にも、ライターがセルフチェックできるようガイドラインや研修を充実させると良いでしょう。「校正者が全部直してくれるからいいや」ではなく、「自分で8割直してから出す」という文化を根付かせるのです。それにより、ライター自身のスキルも向上し、全体の品質底上げになります。
もちろん、人間が行う最終校閲はゼロにはできませんが、可能な工程はオペレーション化・自動化してしまうのがこれからのSEO運用で重要です。記事本数・スタッフ数が増えても回る仕組みを整えるため、チーム全体で効率化に努めましょう。校正・校閲担当者自身がこの流れを推進し、ライターやディレクターと協力してスマートな運用に移行していけると理想的です。